夜明けの位置
今はGPSやレーダーがあるから座標として自分の位置を知ることができる。
それでも、水平線しか見えないというのは不安でしかなく、特に夜は艦橋から見える僚艦のささやかな灯だけが心細さを少しだけ紛らわせる。
夜は、空と海は完全に溶け合い、星座の中を航海しているようだった。
操舵手は、一瞬たりとも気を抜くことはできない。
彼は、針路を保つために小刻みに舵をきる。
海の意思は驚くほど強く、あるときはそれに逆らい、あるときはその身を委ねながら、船は進んでゆく。
水平線の向こう側にあるのは、明日という未来である。
地球の自転と反対に進んでも、地平線の向こうには明日があるんだっていうのはとても不思議だと思う。